「ズブい」って何だろう 競馬評論用語の定義を考える
ムーヴザワールドの共同通信杯の評価で「ズブい」としているネットのページを見かけるんやけど、違うんちゃうかな。
ムーヴザワールドは大型馬でイメージが「ズブい」んやけど、ワシの言葉の定義やと「ズブい」やないと思うねん。
そもそも、
「ズブい」って何やろとあらためて考えてみた。
ワシが競走馬の走りをみるときは、大きく2つのポイントをみる。
(1)機動力(サッと加速できる能力。直線前のペースが上がるところで、騎手の指示が出たときにすぐに加速できる能力)
(2)スピード(直線加速力。直線で他馬よりも速く走る能力)
勝負根性とか、落ち着きとか、そういう気性面も大事やけど、ここでは省く。
(1)と(2)の能力は、重賞常連クラスの馬でも、馬によってそれぞれ違うようにみえるねん。
機動力がある馬は「器用」にみえる。
代表例はロゴタイプ。
いつも騎手が仕掛けると、他馬よりもサッと加速して良いポジションをとれる。
しかし、スピードが抜きんでているわけではないので、重賞クラスになると差されてしまうことが多い。
サッと動ける機動力がある馬はたいてい中距離馬になる。
2000m前後で強い。
ワシは機動力がある馬が好きなので、好きなタイプの馬はだいたい中距離馬になるので、秋の天皇賞や毎日王冠が好きになる。
スピード(直線加速力)がある馬は「キレ味がある」ようにみえる。
代表例はハープスター。
ハープスターは勝負所でいつもしばらく動かない。加速までに時間がかかる。機動力はあまり無い。
しかし、加速すると一気に突き抜ける。凡馬が止まっているようにみえるほどの鮮やかな脚でゴールまで走り切る。
こういう馬がスピード(直線加速力)がある馬やと思う。
ハープスターは超一流の素質があったのでわりと成績が安定していたけど、このタイプの馬は成績にムラが出やすい。
結局、加速をしないまま後方で沈んでいくことも多い。
「機動力がある(器用)」の反対語が、ワシの言葉の定義では「ズブい」になる。
動きたいときに動いてくれない。
それをワシは「ズブい」と呼ぶ。
ハープスターは「ズブいけど、スピードがめちゃめちゃある馬」だとワシは思っているし、ロゴタイプは「器用だけど、スピードはそこそこの馬」だと思っている。
ただハープスターは小柄で速いイメージがあるので、あまり「ズブい」とは言われなかった。
人によって「ズブい」という言葉の定義がバラバラなんやろな。
こういう言葉の定義を一度ちゃんとまとめなおす必要があると思う。
機動力もスピードも高いレベルで持っている馬が、超名馬クラス。
ディープインパクトやオルフェーヴルなんかはもちろん両面兼ね備えた馬やった。
機動力もスピードもそこそこあって総合力の高い馬は「センスがある」ようにみえる。
ステファノスやヌーヴォレコルトあたりがそんな感じがする。
しかし、目を見張る特性がないと、上位レースでは常にそこそこぐらいの結果に終わる。
ムーヴザワールドは東スポ杯も共同通信杯もいつも直線で最初に良い脚でガッと加速してくる。
一瞬、おおっと思うのだが、それからの加速力が弱い。
だからスピード(直線加速力)が弱いのであって、「ズブい」のではないとワシは思っている。
まあ、ワシのイメージの話で実際の馬がどうかは知らんけど、みんなの、競馬をみるときのひとつの参考にしてみてくれ。